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鈴 真由.の徒然なる介護日記

通院外出

父が施設に入所して半年。

初めての外出をした。

泌尿器科の検査受診で予約をとっていたので朝、私が車で迎えに行って、通院してまた施設に戻るという流れである。

施設側には伝えてあったが、あんなに家に帰りたがっていた父を外に出して大丈夫か?

と私も不安があった。

(コロナの抗原検査はしてくれて外出許可がおりた)

 

時間に迎えに行くと車いすでフロアから降ろされてきたので、そのまま車いすから私の軽自動車に乗り換えてもらうのだが、今まで(自宅にいたころ)は杖で歩いていた状態からの移乗だったのでそこまで苦労しなかったが、今日は車に乗せるところから前とは違っていた。

足が上がらず車になかなか移乗が難しく、こっちも最初から汗だくになってしまった。

 

久しぶりに見た父はさらに痩せていて、一回り小さくなっていた。

4月に罵声を浴びせていた元気はどこへいったのか?というくらい牙を抜かれたような状態でおとなしくなってしまっていた。

 

ちょっと涼しくなったとはいえまだ、私は半袖のTシャツ1枚なのに父はニットのカーデガンを着ている。

施設内は寒いのだろうか?

6か月振りの外なので車の窓を開けて走り出したら寒いのか?

「閉めて」という。

 

病院についたら、病院の車椅子を借りて移乗するのだが、これも一苦労。

でも、車椅子をあんなに嫌がっていたのに今では車椅子でしか動けない。

(居室内のトイレは杖で行っているらしいが、外は無理だ)

車椅子をガラガラ押しながらCT検査に行き、待ち時間はうつろな父に話しかける。

 

「私がわかる?」

と聞くと

「一番上だろう」

とはいうが、名前は出てこないらしい。

うちの犬の写真をスマホで見せたり、地元の駅が再開発されるので動画をとってあったものを見せたりすると反応はするが、破棄がない。

着ているカーデガンも汚れているし・・・。

あんなに怒鳴っていた父はどこへ行ったの?という感じに驚いてしまった。

 

頻尿なので通院中に2度、トイレ介助があったが、前は意地でも立って用を足していたのに今では車いすから便器に座って移乗するのがやっとである。

ズボンは自力ではさげられないし、あげられない。

要介助だ。

(施設内ではどうしているのだろう??)

多機能トイレでまた苦戦してしまった。

 

検査して診察してという通院を私は父と5年近く、行ってきたがここにきて一気に出来ないレベルになった。と思った。

施設に行き、見えない世界で過ごしている時間があるから余計、そう思うのか?

それとも現実にいろいろ弱ってきたということなのか?

言語障害はあるが、頭の芯はクリアなので、自宅の鍵を後生大事に首からかけて今日も出かける準備をしてきている姿を見ると切なくなった。

 

鍵、いらないんだよ。

施設に帰るんだから・・・。

 

診察が終わって、帰途につくとき、父に

 

「おうちには帰れないけど、おうちのほうを車で回ってから帰る?」

と聞いたら

「回る」

というので今まで車で通っていた道を通って、私のマンションの前を通り、実家の横を徐行して走った。

実家の横にきたら、

「止めろ。」とか「帰る」とか騒ぐかと思ったが、何も言わずに自宅を黙って見ている父を見て逆に悲しくなってしまった。

 

施設について車いすを乗り換え、施設の中へ入っていく時も前みたいに騒ぐことなく、

私の手を1度握ってから黙って戻っていった。

なんか、この半年で諦めができてしまったのかな。

それとも出来ないことを痛感してしまったのかな。

 

いろいろ物思うとおもに、切なさが私の胸に走った初めての通院外出だった。

 

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