実家は3世帯同居だったので祖父母が子供のころから一緒だった。
祖母は私が高校の時に亡くなり、その後は祖父がマイペースに頑張っていた。
祖父は97歳まで生きたのだが、祖母を亡くし、静岡にいた娘の伯母も先に亡くし、
同居の息子の父も60代で脳梗塞で半身麻痺になってしまった。
ちょっと母一人で当時90歳すぎた祖父と歩けなくなるかもと言われた半身麻痺の父の面倒をみるのは不可能で祖父は特養に入ってもらった。
父が倒れた当時、祖父が一番心配したのが、ずっと面倒をみてもらった母(嫁)に対して自分が亡くなった後、なんの相続権もないことだった。
そのことについては母が結婚して同居するときから祖父は考えていたらしく、最初、母を養女にする。といいだした。
90すぎの年齢でそんなことを考えるのは凄いと思うのだが、さすがに養女にするのはいろいろ問題があるので、私が調べて弁護士さんに遺言書を作ってもらい公正証書にしておいた。
90すぎの老人に手書きで(下書きは弁護士が作ってくるが)誤字なく遺言書の原文を書いてもらい、公証役場につれていって手続きをするのはかなり大変だった。
でも、その手続きをしておいたおかげで祖父の死後、祖父の希望どうり母にも相続分を遺贈することができ、亡くなったあとも遺言執行人だった弁護士に全部やってもらったので何もしないうちに相続は済んでいた。
伯母である娘が亡くなっているので代襲相続で外孫の従妹と父と母への遺産分割の手続きが何のもめごともなくスムーズにいったのは祖父の考えがしっかりしていたからだと思った。
その時担当した弁護士さんに父も遺言証を手書きでいいから作っておくべきだ。
と言われたのだが、父が母への分配を減らした遺言証を書いたので母が怒って破り捨ててしまった。(本来、これはNGなのだ。遺言書は遺言者の意志なので。、)
一般の相続で遺言書を作る方は少ない。
そういった点で立つ鳥後を濁さないかった祖父はえらいなと尊敬する。
最後の入院期間もたった半日で、何の治療もなく、面会時間最後の午後7時まで一緒にいて
「明日もくるね~!」と言って私は帰ったくらいなので。
苦しむことなく、本当の老衰で亡くなった祖父は理想的な臨終だった。
子どもの頃、大嫌いだった祖父だったが本当に最後まで筋を通して迷惑をかけずに亡くなったのは尊敬に値すると今は思っている。